【株式会社JADE:長山一石~前編】SEO分析ツールAmethystの正体/もうGA4やサチコのUIは見ない/GA4はBigQueryが正義/AI時代に人間はどう変わるか #毎日堂マーケティングラジオ

AIで分析をするようになると、複数のツールにまたがって分析するのが面倒になってきます。どこかに集めないといけませんので。Amethystはそんな悩みを解決してくれます。AIとデータと人間がどう付き合っていくのか?というお話。
運営堂 2026.09.22
誰でも

自分のデータなのにUIでは見られない

今回はJADEさんのスタジオをお借りしての現地収録で、いつものZoomと勝手が違って最初はかなり緊張しましたね~。

話の中心はJADEさんが出しているAmethystというツールなんですが、聞いていくうちにツールの紹介というより、これからの分析の仕事がどうなるのかという話になっていきました。

欲しいツールがなかったから自分で作った

長山さんはもともとGoogleにいた方で、プラットフォーム側にいたのでSEOをやる側ではなかったそうです。JADEを立ち上げて自分がSEOをやる立場になったときに、たぶんこういうツールが必要だろうと思って探してみたら、そんなツールはどこにもなかったと。

発想の出発点はファーストパーティデータです。自分のGoogle Search Console、自分のサイトのGA4、それに広告運用のデータをきちんと分析するところから始めるべきだろう、という考え方ですね。ところが世の中のSEOツールは、検索結果をスクレイピングしてくる順位チェック系か、このキーワードを狙うといいですよと教えてくれるボリューム・サジェスト系が大半でした。自分の順位を知りたいならサーチコンソールを見ればいい話で、そこに欲しいものがなかったわけです。

クロール率やインデックス率も同じでした。JADEさんが出している検索インタラクションモデルでは、URLを発見させてクロールさせてインデックスさせないと順位はつかない、という順番で分解していきます。そうすると知りたいのは何本インデックスされたかではなく、インデックスしてほしいURLを分母にしたときの何パーセントか、になります。サーチコンソールは本数しか出してくれませんし、中身も非常に小さなサンプルで、しかもランダムサンプルですらないそうです。当時はURL検査APIもなかったので検索結果をスクレイピングするしかなく、作っている途中でAPIが出てきたので、1プロパティ1日2,000件という上限をどうフル活用するかを考えて社内用に組んだ、というのが出発点でした。

最初はデータポータルでダッシュボードを作っていたものの、新しいクライアントが入るたびに同じものを作り直すことになります。これが面倒なのでアプリにしてしまおう、自分たちが便利に使っているなら便利に使う人はほかにもいるだろう、ということで売り物になりました。Amethystを作ろうとして作ったのではなく、SEOの状況を分かろうとして作ったものがAmethystになった、という順番ですね。

Google Search ConsoleとGA4の画面はもう見ていない

JADEさんの中ではGoogle Search ConsoleもGA4もUIをほぼ見ていないそうです。理由ははっきりしていて、BigQueryのデータのほうが完全だからです。

サーチコンソールのUIは上位1,000件程度しか見られませんし、なぜかクエリとURLを同時に選べません。匿名化されたクエリがどれくらいあるのかもUIでは分かりませんが、BigQueryに吐き出せばその割合まで見えます。GA4も無料でBigQueryにエクスポートできますが、UIだと2ページ目の分析ができない。1ページ目に来た人が2ページ目にどこへ行ったのか、という単純な話がユニバーサルアナリティクスの時代にはできたのに、今はできません。Amethystではデフォルトでできるようにしてあるそうです。

自分のデータなのにUIでは見られない、というのは言われてみると不思議な状態です。あれくらいでいいだろうと思われているのかもしれませんが、データの完全性でも正確性でも見たい切り口でも差がついてしまうので、UIを見る理由がなくなった、というのは自然な流れかなと思います。

AIにSQLを書かせない

MCP対応しましたというツールがここ最近どんどん増えています。便利な反面、単にツールが増えていくだけなのでコントロールしづらくなってきた感覚があります。

長山さんの話で面白かったのは、AIに直接データを取りに行かせるとAPIの問題をそのまま引き継いでしまう、というところでした。このボリュームだとサンプリングがかかりますよね、という既知の問題がAPIには数多くあって、AIが叩けばその問題ごとついてきます。かといってGA4のBigQueryエクスポートをAIに読ませるのも意外と大変です。あのテーブル構造はもともとFirebase Analyticsのもの、つまりアプリ向けに作られた10年ものですから。そして、後方互換性の関係でドラスティックには変えられないので古い構造のまま。AIがそこにSQLを書こうとすると考えることが多すぎて、トークンを無駄に使ったり間違えたりします。

そこでAmethystをMCP対応にして、AIがSQLを書かなくてもAmethystが全部やります、という形にしたそうです。長山さんが最近いちばんの価値だと思っているのは、SEOツールであることではなく、人間にとってもAIにとっても標準的なデータレイヤーとして扱えることだと話されていました。Amethystに聞いたら正確なデータがパッと返ってくる。今までGoogle Search Consoleに聞いてGA4に聞いて、と個別に回っていたので、束ねてくれるのはありがたい話です。

セキュリティが不安ならGemini、という答え

AIにデータを触らせるとなると気になるのが漏洩のあたりです。ここへの長山さんの答えが実務的でした。心配なら個人的にはGeminiを使うのがおすすめ、というものです。

理由はシンプルで、データは自社かお客さんのBigQueryに入っています。BigQueryはGoogleのものなので、Googleが持っているデータについてGoogleのAIに聞いている状態になります。AnthropicやOpenAIが信用できないということであれば、Geminiを使ってくださいという話になりますね。

削除についても聞いてみたら、AIからは削除できないようにしてあるとのことでした。そもそもAmethyst側にBigQuery上のデータを消す機能がないそうです。引っ張ってきて高速化したりキャッシュを作ったりはしますが、消したければBigQueryのコンソールに行くしかない。BigQueryのMCPを直で繋ぐより、削除できないぶん安心というメリットがあるという説明は納得しました。

広告もSEOも一箇所に集まると担当が分けられなくなる

今はAmethyst Adsを作っているところだそうです。サードパーティのサービスでBigQueryに広告データを入れている人はプラグアンドプレイで繋がるようにして、入れていない人向けにはコネクターを充実させる。直接のBigQueryエクスポートに対応していない媒体もAPIで取りに行く、という設計です。

そうなると一つのURLに対して自然検索でこれくらい来ていて、広告でこれくらい来ていて、成果はこう、というのが一画面で見られることになります。今これをやろうとすると相当大変なので、これはかなり便利ですね。

面白いのは、それがJADEさんの組織の思想と地続きになっているところでした。JADEさんには広告チームやSEOチームという区切りがなく、全員がコンサルタントという職種で、その中に専門性としてSEOや広告やGA4がある。だからツールもわざわざ分けない、と。Amethystを使っていて一つの領域しか知らないと、なんだこのデータで終わってしまいますから、ツールと組織の形が揃っているのは自然かなと思います。

AIにドキュメントを作らせるのをやめた

ちょっと話がそれる部分です。

AIを活用すること自体は会社として力を入れていて、今期は採用の媒体費を全部やめてAIに回しているそうです。そのうえで最近やめたのが、AIにドキュメントを作らせることでした。

何が起きるかというと、ジュニアメンバーがAIを使って自分の力量を超えたドキュメントを作ってしまいます。自分でレビューしきれないままレビュアーに回ってくるので、受け取った側はすぐ分かります。しかも整合性が取れていないところや前提が抜けてロジックが飛んでいるところを指摘しても、AIに書かせているとその指摘をAIに渡して終わりになる。書いた人自身の成長にならないわけです。

壁打ちに使うのはいいし、分析をAIに手伝ってもらうのもいい。ただし提案や分析のレポートはお客様に納品する仕事の証跡になるので、品質を保証できるように自分で書きましょう、という線の引き方でした。一周回って懐かしい感じもしますが、書いたことがある人がAIを使うのと、書いたことがない人がAIに書かせるのは別物ですからね。

ツールの細かい知識はたぶん死なない

ツールをいじって細かいところを見るのが好きだった人の仕事はなくなるんでしょうか、と聞いてみました。答えは、そういう知識がないとAIがおかしなことを言っているときに気づけない、というものでした。

実例が分かりやすかったです。Claudeに分析させたときに、自分のサイトの話なのにサーチコンソールやAmethystではなくAhrefsを見に行ってしまったそうです。ファーストパーティデータではないので、少しずれたことを言い出します。この文脈ではAhrefsじゃなくてAmethystを見ろと判断できるかどうかが意外と大事で、これはAmethystの中でも同じことが起きます。AIがこっちのツールを読んでいるけど本当はあっちだよね、という粒度の話まで含めると、ドメイン知識が完全に死ぬということはなさそうです。

最初の分析をAIにやらせるスピードはものすごく速い。ただしそれをお客様への提案の土台にしていいのかという品質検証を挟まないと先へ進めませんし、その責任をAIは取ってくれません。もっともらしいことを言ってくるけれど実際にやってみると大した成果が出ない、という話も出ていました。データをちゃんと見てお客さんと向き合うところは変わらないかなと思います。

分析は楽になって仕事はしんどくなる

大量のデータが扱えるようになると、必要になる知識やスキルも増えます。人間はあんまり楽になっていないですね、という話で長山さんとも一致しました。

今まではツールのレポートを出してコメントを付けて終わりだったものが、SEOも広告も解析も複合したうえで、そこからクライアント向けに組み立て直すことになります。分析そのものは楽になるのに、アウトプットは逆に大変になる。本来やるべきだった仕事に戻るだけ、という言い方もできますけどね。

人間が考えて人間が責任を持つことが引き続き重要で有効だ、というのが長山さんの締めでした。ツールがどれだけ賢くなっても、どのデータを見るべきかを決めるのと、出したものに責任を持つのは人の側に残ります。明日サーチコンソールを開く前に、そもそも自分は何を確かめたくて開いているのかを一度考えてみる。ここは変わらないですね。

動画はこちらから

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