AIとどんな感じで付き合っていけばいいのかをいろいろ考えたら、歴史を学ぶと良いという結論になった。
AIに人間がやっていること 「奪う」のか?「パートナー」なのか?
今年(2025年)はAIと人間の関係を考える上で大事なタイミングですよね。AIによる大規模な人員削減が進んでいる一方で、人間とAIが一緒に働く新しい可能性も見え始めています。AIは人間の仕事を奪う脅威なのか、それとも人間の能力を広げるパートナーなのか。どっちなんでしょうか?
「AI代替」の流れ
マイクロソフトで9000人、リクルート傘下のインディードやグラスドアで1300人の大規模な人員削減が発表されています(※1)。一時的なリストラではなくて、AIを使った企業運営を前提とした構造的の変化が始まったということでしょう。マイクロソフトのナデラCEOは「コードの20〜30%はAIが書いている」と話していて、Metaのザッカーバーグも「中堅エンジニア並みのAIを今年中に開発できる」と言っています。
中堅ですよ、中堅。2:6:2の法則でいったら6の部分なので、かなりの部分がAIになってしまいそうです。
特に衝撃的なのはMetaが広告運用を完全自動化する計画を立てていることです(※2)。2025年内に、広告主は画像と予算を入力するだけでAIがターゲット設定からクリエイティブ生成、配信まで全部やる世界を目指しています。これを知ってしまうと、人間の仕事をAIが置き換えるという話がいよいよ現実味を帯びてきて、脅威になってきたと感じざるを得ないです。
70点は誰でも取れる時代に
生成AIを使えば、一定品質の文章や資料、アイデア出しが誰でもできるようになってますよね(※3)。毎日チェックしている記事にもAIが書いた文章っぽいのがあふれていますし、今まで専門的なことを書いていなかった人たちも、急に専門的なことを書いたりしています。
つまり、リサーチや文章の要約、専門知識やコンテンツ構成など、これまで経験や時間で差がついていた部分が平準化されてしまったんです。ちょっと指示をすれば誰でも一定品質=70点は取れてしまいます。
まあ、AIをふんだんに使ったものが70点かと言われたらそれは怪しいのですが、ちゃんとした評価者ではなくて、知らない人が見たらそう見えるだろうから、やっぱり70点なのかな~と思います。
もはやAIは当たり前になっていて、喫茶店で話しているおばちゃんからもChatGPTというワードが聞こえてきます。部分的にAIを使う段階を超えて、AIを前提に仕事を設計するようになりました。AIを使わないという選択肢はないです。コンピューターもスマホも最初はそうだったけど、みんな使ってますもんね。それと同じ。
では、こうなっていく中でどうやって自分の価値を出すのか?これが皆さんの悩みどころだと思います。
ジョブズが言っていた知性の自転車
AIにすべてを任せるようになってしまうのか…と怯えるようになるかというと、そうではないと思ってます。スティーブ・ジョブズはコンピュータを「知性の自転車」と表現していました(※1)。自転車が人間の移動効率を飛躍的に高めたように、テクノロジーは人間の能力を拡張する道具であるべきという考え方です。
コロンビア大学のティム・ウー教授も「謙虚になり機械の助けを借りて良い人生を送ることもできるし、傲慢になって死に至ることもできる」と話しています。AIをいろんなものを「奪っていく」敵と思うのか、人間の能力を拡張するための「パートナーなのか」。シンプルにその人の選択なのでしょう。
「セマンティックレイヤー」というヒント
AIに何かやってもらうにしても何かと難しくて、多くの企業は部署ごとの言葉の定義の違い、分析業務が特定の人に偏るといった問題を抱えています。AIに適切に指示ができないんですよね(※4)。
セマンティックレイヤーは「データの専門家が使う言葉」と「ビジネス現場の言葉」をつなぐ共通言語の層を作るという考え方です。例えば「アクティブユーザー」という言葉の定義を組織内で揃える。売上の計算式を統一する。そうした地道なプロセスでお互いの理解が進んで、いろいろな言葉の定義ができて、AIに指示すべきことがわかってくる。
AIと話すことができる通訳と言うか辞書を作るイメージでしょうかね。
あれ?こんなのって以前からあったのでは?
ビジネスの場でのやり取りって、相手の言っていることを理解して実現するためのコミュニケーションになりますよね(※5)。最初は双方のことを知らないので、関係者同士で話し合ったり専門用語を説明したりと、セマンティックレイヤーみたいなものを作ってます。
ここの理解とまとめが早い人が仕事ができる人ってイメージがあります。
AIにも社内外のスタッフに適切な指示ができて、無駄なくも目標に向かいつつも、臨機応変に対応できる。セマンティックレイヤーを持った人は以前からいたんですね。
なんだかんだで人を動かすには「誰が語るか」
AIを使えばある程度の「70点」は誰でも出せます。
しかし、その回答を見せられて相手が動いてくれるかは別問題です。今のところ完全自動化されているものは少ないので、人間が何かしないといけなくて、その人間を動かさないことには何も始まらないです。
広告の完全自動化が進んでも、人間に求められるのは単一指標を個別化するという話があって(※2)、同じ「1」という数字でも企業やユーザーによって意味は変わります。その意味をどう解釈するかによって提案内容や意思決定も変わります。大事なのは「誰がそれを語るのか」ということ。同じ言葉でも、その人の背景や経験、積み重ねがあってこそ納得感が生まれます。
SEOでいうところのE-E-A-T(Experience、Expertise、Authoritativeness、Trustworthiness)ってことですね。このへんを兼ね備えた人の意見は的を射ていますし、みんな納得しやすいので動いてくれます。
つまり、人間が何かしないといけないのが変わらないので、やることは昔からあんまり変わってないんだと思ってます。
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AIが賢くなって70点を簡単に取れるようになった
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70点=中堅ぐらいの仕事はAIができるようになった
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かといってAIに仕事を奪われると考えても始まらないのでパートナーだと思うのが良い
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AIを使うにも最終的に人間が動かないといけないのでセマンティックレイヤーの考え方が必要になる
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セマンティックレイヤー的なことをできる人は「できる営業」みたいに以前からいた
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できる人は「E-E-A-T」を兼ね備えていてリアルでもSEOでも価値がある
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ここを目指しましょう
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
ということなんだと思います。
AIを使っていて無駄に危機感を募らせるよりは、歴史を学んで新しい技術が出てきたときに何が起きて、どんな人が生き残ったかを知るほうがいいでしょう。
世界史、日本史に加えて、できる人の記事や本を読むといいですね。
できる人の歴史を学べばわかることがたくさんあるはずです。
参考記事
1.加速する「AIリストラ」、AIは「知性の自転車」か「人間の代替」か? | 新聞紙学的
https://kaztaira.wordpress.com/2025/07/14/ai-as-bicycles-for-the-mind/
2.我々が運用している広告が、完全にLLMに置き換わったとして。 | LIFT合同会社(LIFT, LLC.)
https://livefortoday.jp/token-auction-model-and-llm-ops/
3.生成AI時代に働き方はどう変わるか
https://www.jbnet.jp/news/column/ai-and-work-style
4.AI時代に必要そうな“セマンティックレイヤー”という概念に出会った話|Tetsu Yokozeki
https://note.com/vast_acacia1813/n/n1dcb0ff0a447
5.営業が苦手な人ほど読んでほしい。クライアントと“いい対話”をつくる商談の工夫10選|アナグラム株式会社
https://anagrams.jp/blog/better-business-meeting-tips/
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