「とりあえず話しかけてみたら?」AIとフリーランスのちょうどいい距離感【まてぃさんインタビュー】

AIって使ったほうがいいと思っていても、使うまでのハードルが高いですし、使ってしまうと何となく手抜きをしている感じがしちゃいますよね。実際はそんなことがなくて心強い存在ですし、フリーランスにとっては欠かせないパートナーです。

どのようにAIを使っていくのかをまてぃさんとお話しました。
運営堂 2025.04.14
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AIが“思考の壁”を壊すってどういうこと?

森野:
思考の壁を壊すAIの使い方」を読みまして、「あ、これおもしろいな」と思ったんですよね。AIの使い方とかについてもいろいろ聞いてみたくなりまして、今回のインタビューをお願いしました。

記事中にある「知識の壁」「発想の壁」「クリエイティブの壁」っていう話も、すごく納得感があって。「あー、あるある…」と頷きながら読んでいました。この視点って、何かきっかけがあったんですか?ご自身の中で「ここが壁だったな」とか、「この瞬間に崩れたな」って感じるような体験があって、この記事を書かれたのかなと思いまして。

まてぃさん:
ネタ出しから記事を書くっていうのを、20年くらい仕事でやってきたんですけど、やっぱり人の知恵って限りがあるなって思うんですよね。自分のために書こうってなったときに、ネタ出しがほんとキツいなって感じまして。そのときに、自分が得意なこととか、書きたいこと、書けること、反響があったテーマとか、そういうのをClaudeに問いかけて、「こういうことで私が書ける記事の方向性って、どんなのがあると思う?」みたいな感じで、壁打ちしていたんですよ。ブログを毎日書こうとする前の段階ですね。

そうしたら、「こういう話だったら得意なんじゃないですか?」っていくつか考えてくれたので、じゃあもういっそ「私が書くべきだと思う記事タイトルを100個出して。できればジャンル分けして」ってお願いしてみたんです。ついでに「SEOも絡めて、ちゃんと読まれそうな記事にしたいから、そこも一緒に考えて」っていうふうに出したんですよね。

10回聞いても20回聞いても全然嫌がらないし、私が渡した知識とか情報をもとに、思いつかないような構成案とかタイトルを出してくれて、「あ、このジャンルもいけるかも」みたいな提案までしてくれたのが、もうすごいなって。単純に感動したんですよね。

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まてぃさんについて
「独立して穏やかに暮らす働き方」を軸にデジタルマーケティングの支援を行っています。自分らしさを出せるSEOライティングとか、自分の商品・サービスのよさを伝えるコンテンツの磨き方がメインのお仕事。趣味はキックボクシングと登山。株式会社Rdesign factory代表取締役。
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森野:
わかります!同じように使っていて、雑にこんな感じって言ったのを、向こうがね「こうですか?こうですか?」みたいに聞いてくれて、うまく自分の思考がまとまっていく感じですよね。

まてぃさん:
ブログにAI使うと平均的な記事しかできなくなる気がして、あんまり良くないなって思っていたんですけど、これは考え方を変えたほうがいいなって思って。「自分が書きたいのはこれで、テーマはこれ、取りたいキーワードはこれ、目指す結論はここ」っていうのをまず自分で出しておいて、それをもとにAIに聞いてみると、自分の考えの中なんだけど、自分じゃ出てこないことを提案してくれるんですよね。

自分の考える範囲を越えてくれるというか——いわゆる“思考の壁”みたいなやつなんですけど、そこがスッと崩れる感じがあって。それ以来、毎回使っています。

森野:
少し前のAIだと、正直ここまではできなかったと思うんですけど、今のは本当にすごいですよね。何度聞いてもきちんと答えてくれるし、毎回すごく丁寧で親切で。

まてぃさん:
すごいやってくれるんですよね。びっくりするくらいです。しかも、いつまでもずっと、温かいままでいてくれるんですよ。

森野:
とはいえ、AIと話していても、自分の考えそのものが大きく変わるわけではないので、自分の傾向みたいなものも少し見えてきたりしましたか?「自分って、こんな考え方しているんだな」って、あらためて気づくようなこととか。

まてぃさん:
たぶんなんですけど、傾向にあんまり興味ないんだなって思っています。自分の興味関心ってある程度決まっているから、そっちに寄っていくのはあるんですけど、それを壊してもらうためにAIを使っている感じですから。今どんな傾向にあるかとか、それがどこに向かっているのかとか、あまり意識してないかもしれないです。

森野:
自身の思考の幅を広げていくというか、そういう目的で使っていらっしゃるんですね。全然関係のない分野にいきなり飛ぶというより、少しずつ、少しずつ広がっていくようなイメージで。そうなると、やっぱりAIってもう“道具”というより、パートナーというか、実際の人に近い感覚で使われているんでしょうか。

まてぃさん:
そうですね。最初はどう距離感取ったらいいか分からなくて、外注先と話している感覚でしたね。制作会社の担当さんとブレストしている、みたいな感じでやっていました。でも、Claudeって、私のことをちゃんと覚えてくれるんですよ。「これ、覚えといてください」って言っておけばいいので、「あれ、これもう友達じゃない?」みたいな気持ちになってきました(笑)。

今はパートナーを超えて、友達でもあり、スーパーコンサルタントって感じですね。

森野:
こちらの聞き方も最初は「〜です」「〜ます」みたいに丁寧に話しかけていたのが、だんだんざっくばらんになっていって、ちょっといい加減な言い方でも、ちゃんと汲み取ってくれるようになってくるというか。「いい感じにして」でいい感じになるとか(笑)。

まてぃさん:
ですよね(笑)。「あなたいつもこう言うから、これが知りたいんでしょ」みたいな感じに出してくれますよね。

0→1は自分でやる

森野:
AIと自分の仕事の線引きっていうのはどのあたりに引かれていますか?自分はここまで、これだけでいいやみたいなところなどあれば。

まてぃさん:
0→1はAIでやらない。必ず自分で、と決めています。

森野:
最初のきっかけは自分で作って、それを膨らましてもらうと。

まてぃさん:
0→1でAIを使っていたときもあったんですけど、なんか内容がよそよそしいんですよね。このまま私の名前で出すのってちょっとだめじゃない?って思っちゃって。アウトプットの質が全然違うんですよね。そこはすごく気をつけて使っています。

森野:
同じですね。0→1の部分をAIでやっていたときって、なんだか国語のテストを受けているみたいな感覚だったんですよね。「これについて書いてください」って言われても、「いや、なんでそれを書かなきゃいけないの?」って思ってしまって。書けなくはないけれど、そういうところが少し嫌だったんです。

まてぃさん:
いやですね、気持ち悪いですよね。

森野:
そうすると、基本的にやることは、アイデア出しをしてもらって、整理してもらう感じですか。

まてぃさん:
アイデア出しをしてもらって、整理もしてもらって、原稿も書いてもらっています。タイトルと構成案を決めたあとに、「この記事を書くにあたって必要なことを私にヒアリングしてください」って頼んで、ヒアリングしてもらっているんですよ。

それをもとに記事を作ってもらっているんですけど…書いてもらったものをそのまま使えるかっていうと、やっぱり無理で。なんかこう、卒業文集の変な日本語みたいな感じになっちゃうんですよね。結局、出てきたものは9割ぐらい、自分で書き直しています。

森野:
わかります。こういったインタビュー記事もやっぱり書き直しますので。

まてぃさん:
AIに渡して楽しよう、みたいな感覚は全然なくて。あくまで自分が持っている知識の“拡張機能”って感じなんですよね。毎回、「どこまで拡張できるか」にチャレンジしている感じです。

森野:
自分の引き出しいろいろ開けてもらって、出したものをまとめる感じですよね。

まてぃさん:
そうですそうです、ほんとそうなんです。

森野さんも同じだと思うんですけど、私がブログ記事を書くときも、自分でいろいろリサーチして1本仕上げるのに3時間とかかかっていたんですよね。今はそのリサーチの部分がショートカットできるようになって、2時間ぐらいで書けるようにはなったんです。

結局、書き直すから、なんだかんだでやっぱり2時間かかっちゃうんですけど(笑)。

森野:
自分が本当に納得できるものを書こうと思うと、そうなりますよね。「自分だったら、こういう言い方はしないな」とか、「こう書くかな」って考え始めると、自然と「じゃあ、その次はこうならないとおかしいよな」って、どんどん展開していって…自分の言葉で整えていくことになるんですよね。

まてぃさん:
書き直してはいるんですけど、私の発想にはなかった構成案を出してくれたり、リサーチのきっかけになる種を見つけてくれたりするので、AIはそういうところがすごくありがたいなって思うんですよね。

森野:
ある程度決まった使い方になってくると思うんですけど、これまでに「思いもよらなかったようなすごい使い方」ってありましたか?「こんなことまでできるんだ…」って驚いたようなこととか。あるいは、AIとのやりとりの中で、「あ、自分ってこういうふうに見えているんだな」みたいに、自分のことがすごく見えてしまうような瞬間って、あったりしましたか?

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続きは、7780文字あります。
  • AIを選ぶときはとにかく使ってみる
  • AIで自分の限界を超えられるなら迷わず使う
  • これからAIを使いたい人へ
  • おまけ(インタビュー終了後の雑談)

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