#毎日堂マーケティングラジオ 河野さん回の記事バージョンです
アクセスが「4倍」になった日
攻城団合同会社の河野さんに、4月に起きたサーバー異変の話を聞きました。Xのポストでは「通常の3倍のアクセスがあって大変だ」と書かれていたのですが、実際に詳しく聞いてみると、もっと深刻な話でした。
正確にはページビュー自体は通常の4倍以上。そのうち人間によるアクセスは1だけで、残りの3倍以上はすべてBOT、つまり機械的なアクセスだったそうです。検索エンジンのクローラーではなく、AI企業のクローラー、そして個人がバイブコーディングで作ったスクレイピングプログラム。
PV発表してる側は気づいてるんだろうか、というのが最初に思ったことでした。たぶん多くのサイトは気づいていません。GA4だけ見て「アクセス増えた、ラッキー」と喜んでいるはずです。
「ちゃんと名乗らないBOT」が増えている
昔のBOTは、良くも悪くも名乗っていたんですよね。Googlebot、Bingbot、ユーザーエージェントを見ればすぐにわかるので、.htaccessでUA指定でブロックできた。中国やロシアのBOTはそれでも無視してきますが、まあ大半は対処可能でした。
ところが最近のAI関連のアクセスは、普通のChromeやSafariのユーザーエージェントを名乗ってきます。さらに困ったことに、ClaudeのComputer UseだったりOpenAIのCodexだったり、本当にブラウザを自動操作するエージェントが普及してきている。ログ1行見たところで人間かAIか区別がつかないんですよね。
河野さんが言っていた「ログ一行だけだと全くわかんない」というのは、たぶん運営者みんなが直面している話なのだろうと思います。
75%が人間以外というリアル
攻城団の一番ひどい日で、その日のアクセスの80%近くが人間以外だったそうです。仮に10万PVと発表しても、人間が見ているのは2万5千で残り7万5千はプログラム。正直に発表すると、もう数字の意味が変わってきます。
「ホワイトペーパーのDL数」みたいなKPIで動いている話を以前書きましたけど、PVも構造としては似たような状況になっているのかもしれません。数字は出ている、でも実態が伴わない。
河野さんはこれを「水増し」と表現していて、そこをちゃんと言うのが河野さんらしいなと思いました。本来であれば怒られるレベルの話というのはその通りで、ただ多くのサイト運営者は無自覚なまま発表していると。業界全体の課題な気がします。
「みんな同じ穴のムジナ」になりかけている
ツイログさんやぱくたそさん、国土地理院も含めて、ほぼ全部4月くらいから声を上げ始めている。攻城団もまさに4月。
偶然というよりは、何かのパラダイムシフトが起きていると考えるのが自然です。Claude CodeとかMac miniの大量購入の話とか、バイブコーディングがカジュアルに広がってきたのと、たぶん時期が一致しています。
ここで河野さんが面白いことを言っていました。スクレイピングをやっている人の意識構造が、昔と今でまるで違うと。
昔のスクレイパーは大体サーバー運用経験者だったので、「どれぐらいのペースなら許されるか」を考えながらやっていた。今は自分のPCでツールを動かす人がほとんどで、サーバー運用経験もない。なんならスクレイピングという言葉すら知らずに、欲しいページを取ってきている。
AIに「このサイトを丸ごとダウンロードして」と頼めば、AIがよしなにやってくれる。倫理観が入る余地がそもそもないんですよね。やっている本人は、迷惑をかけているという自覚すらないわけです。
「マイ攻城団」が欲しいだけ
スクレイピングする人の発想って、悪意ではなくて「自分専用のサイトが欲しい」程度のものなんですよね。河野さんも「マイ攻城団を作りたいだけだと思う」と言っていて、まさにそうなんだろうなと。
データを一から作るのは面倒だから、すでにあるサイトから丸ごとコピーする。無邪気な発想です。ただその無邪気さが、攻城団のサーバーを悲鳴を上げさせている。
スクレイピングに限った話ではなくて、テクノロジーと現実のギャップを埋める教育が追いついていない、という構造の問題な気がします。
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