Looker Studio大全の著者、木田和廣さんに疑問点などをお聞きしました。

皆さんご存じの木田和廣さんが書かれた「Looker Studio大全」が出版されました。
私が読んで気になったことがいくつかあったので、ご本人にお聞きしました!
運営堂 2025.03.10
読者限定

「Looker Studio大全」はこんな本

本書はビジネスパーソンがLooker Studioを活用して業務を効率化し,データに基づく意思決定を行うことを目指します。Looker Studioの基本知識や使い方から,そもそもなぜ可視化やダッシュボードが必要なのか,分析の前段階であるデータの準備,整え方まで,実践的なテクニックを解説します。

Looker Studioの壁っていくつかあると思ってます。

  • 操作の壁:何をしたらいいのかわからない

  • データの壁:欲しいデータが抽出できない

  • 見せ方の壁:見た目にわかりづらい

  • 活用の壁:最初しか見てもらえない

その壁ごとに解消法が書かれているのでとっても参考になると思います。

本の内容に沿って質問しました

- 今回は、技術評論社から出版された『Looker Studio大全』についてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

BIツールの説明についてですが、多くの場合「目的を明確にする」「ヒアリングをしっかり行う」といった点が重要視され、導入のプロセスとして最初に触れられることが多いですよね。本書でも1章でその点に触れられていますが、より詳細な内容は第9章に書かれています。この構成になっているのは、本書がツールの実際の使い方にフォーカスしたかったからなのでしょうか? それとも、他に何か意図があったのでしょうか? そのあたりについて教えてください。

木田:そうですね、まずは、本書の構成について注目して頂いたのが、さすがというか、嬉しいですね。構成にはすごく気を使いました。もちろん、書籍としては一つの内容が一箇所に「だけ」登場するべきで、同じことを2箇所で書いたり、分けてかいたりしないのが定石だと思います。

かたや、ですね、最初に全体像を一通り理解してもらって、その後に、それぞれの「部分」を詳しく説明するというのが大事だな、と思ったんですね。すると、ご指摘のように1章ではLoker Studioでレポートを作る意味とか、最終的なアウトプットが「ダッシュボード」になるんだよ、ということを言っておいて、詳しいダッシュボードの作り方は9章に任せる。そんなことを考えました。

- そのまま9章の話を続けます。書かれている「ヘルプページを作る」という部分ですが、これはとても良いアイデアだなと思いました。過去の経験から何か学びがあったからなのでしょうか? 例えば、「何度も同じことを聞かれる」とか「他のクライアントと共通で使えそう」といったことがあったとか、どのような背景があるのでしょうか?

木田:はい、わたしはBIツールとしてはTableauを先に触っていましたので、Tableauでダッシュボードを作成して納品するような仕事をしたことがあります。また、Tableauでのダッシュボードの作成方法をトレーニングで教えるような仕事もしました。

そんな経験を通して、「ダッシュボードを作成した人に質問が集中する」ということが結構ある。と、データ自体についてだったり、指標の定義だったり、操作方法だったり、、、ですね。これは利用者がいるということ、利用者の感心が高いということを示しているので、嬉しいことではあるのですが、ダッシュボード作成者のリソースを無駄に使ってしまうという問題もあるわけです。

そこで、FAQや、質問を受けないまでも、利用者が気になることについては先回りしてヘルプページを作っておくという解決方法を思いつきました。

ヘルプページはこんなことを載せるといいよ(Looker Studio大全より引用)

ヘルプページはこんなことを載せるといいよ(Looker Studio大全より引用)

- 3-1の「データ接続時の留意点」、特に3-1-2のところですね。ここは本当にいろいろなことがあるんじゃないかと思います。記事の中には「Excelのセルの結合はやめてほしい」とか書かれていましたけれども、スプレッドシートを使っていると、知らないうちに誰かが勝手に変更してしまうとか、いろいろ驚くようなことが起こると思うんですよね。それ以外にも、「こんな困ったことがあったよ」といったエピソードがあれば、いくつか教えてください。

木田:特に激しく困った訳ではないのですが、複数のメンバーが入力できるスプレッドシートで、ある人が、良かれと思って、数値が入る列の一番下の行に「数字は暫定、今週中にフィックスします」みたいなコメントを書き入れたんですね。

エラーにはならなかったのですが、数値が入るべき列に文字列が入ってしまい、Looker Studioのレポート上では、null扱いになってしまったことがありました。

書き込んでもらう必要がなければ、スプレッドシートの権限を「閲覧」にしておけば良いのですが、上記の例の場合には書き込んでもらう必要があるので、「編集」権限を渡していたので、それで発生しました。

Looker Stuidioのは、スプレッドシートの一部だけを可視化の対象とする機能があります。それを使うと「欄外」のような、数値がそもそも入るべきでないセルは除外することができるます。その機能を使うと、スプレッドシートに注意書きを記入することができたり、そもそも欄外は可視化対象にしない、ということができたりします。ま、それが、回避策ですかね。

- 4章の「グラフ作成の基本」では「計算フィールド」について気になったのですが、計算した数値をLooker Studio内で作成するのか、それともデータソースに持たせたほうがいいのか、これは結構悩むところだと思うんですよね。GA4だと計算指標が作れますし。ここの判断をどうするといいかを教えて下さい。

素晴らしい質問ですね。悩む方も多いと思います。同様の質問を貰ったときは、わたしはBIツールの利用目的に応じて大きな方向性を決めるといいよ。とアドバイスをしています。BIツールの利用目的は大きく分けると以下の2つになります。

  • 探索と分析

  • モニタリングと共有

前者であれば、データソース側はなるべく粒度細かく、細工をしないでおくのが良いです。後者であれば、逆にデータソース側でできる加工はしてしまった方が良いです。探索をした結果、重要な指標だと分かったので、それ以降、その指標を定常的にモニタリングするようになった。というような状況では、最初は生データで探索を行い、モニタリングフェーズに入ったらデータソース側を集計するとか、Looker Studioのデータソースを「抽出」に切り替えるなど、別のデータソースに繋いだ方がいいですね。

計算フィールドはこんな機能です(Looker Studio大全より引用)

計算フィールドはこんな機能です(Looker Studio大全より引用)

- 5,6章についてお聞きしたいのですが、この章ではグラフの種類や使い方が一通り説明されていますよね。ただ、種類が多すぎてどれを使えばいいのか少し迷ってしまうんですよね。そこで、特に定番と言えるグラフを3~5個教えていただけると助かります。ここをどう選べばいいのか基準があれば、あわせて教えていただけると嬉しいです。

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