「森野ペルソナ」に向けて書かれた記事に釣られて、ボーダーヘイズ・ジャパン合同会社の屋嘉比さんにGA4やAIのことをお聞きしました。
メディアからはじまってウェブへ
森野
今回はWeb改善のレシピなどのメディアを運営されている、ボーダーヘイズ・ジャパン合同会社の屋嘉比さんのインタビューです。最初にお聞きしたいのですが、ウェブ業界に入る前は新聞やラジオといったメディアのご出身なんですよね。新卒でその世界に入られたんでしょうか?
屋嘉比
東京出身で大学は沖縄に通っていました。ウェブサイトづくり自体は高校時代から好きで、2002年ごろには趣味で個人サイトを作っていました。まったくITに縁がなかったというわけではなく、もともと関心はずっとあったんです。
大学ではメディア系のゼミに所属していて、将来はマスコミ関係の仕事に進みたいと思っていたので、就職活動ではメディア系の会社を中心に探していました。その中で縁があってラジオ局に入社しました。
その後、2年半ほど働いたあと、「やっぱり東京で修行したい」と思い立って退職し、上京しました。
東京では業界新聞の編集を担当していたんですが1年ほどで退職して、その後は広告代理店に行ったり、再び業界新聞に戻ったりと、いくつかの職を転々としながら経験を積んでいきました。
最終的に、2015年ごろにIT業界へ転職したという流れになります。
森野
2015年ごろから本格的にこの業界に入られたということですね。もう10年ほど前になりますが、そのころはどんな状況だったんでしょうか?
屋嘉比
ちょうどオウンドメディアが流行り始めた時期でしたね。
当時はSESの会社に勤めていて、ウェブ関連の部署に所属していたんですが、実際に配属されたのはシステム系の情報セキュリティ案件でした。その仕事を1年ほど経験したあとに、ようやくウェブ広告の運用案件を担当できるようになった、という流れです。
2015年から運営堂のことをご存じでした
森野
いわゆる「みんなで記事を書こう」みたいな流れが始まった頃ですね?
屋嘉比
そうですね。そんな中、社内の勉強会などでオウンドメディアの話や、Googleアナリティクスの話を耳にすることが増えまして、自分でもいろいろ調べるようになって、その中で森野さんの記事も拝見していたんです。
森野
え?どこで見つけるんですか?検索したら出てきた感じですか?
屋嘉比
検索していて自然に見つけていたんだと思います。
当時はいろいろ調べものをすることが多くて、検索結果の中に「〇〇の使い方」といった森野さんの記事がよく出てきたんでしょうね。どの記事だったかまでは覚えていないんですが、改めて見ると本当にお役立ち情報をたくさん発信されていました。
森野
そのころから知っていただいてありがとうございます!
屋嘉比
名前がすごく印象的でしたね。
どこか玄人っぽいというか、「この人、きっとすごいこと書いてるんだろうな」と思わせるような雰囲気があって、最初に見たときから、名前のインパクトはすごく記憶に残っていました。
森野
屋号はちょっと変わってますもんね。IT系に見せたくなったのと作業だけじゃないということを…知り合いに決めてもらったんですけどね(笑)。
先ほどのお話で、独立が2022年ということでしたよね。
ちょうどユニバーサルアナリティクスからGA4への切り替えの時期で、いわゆる特需もあったと思います。GAが4出た時ってどうでした?これは面白いと思ったのか、わかんね~のどっちでした?
屋嘉比
もうユニバーサルアナリティクスに完全に慣れていたので、わかんね~でしたね。
会社でオンライン学習サービスの「Schoo」を導入していて、そこで小川卓さんがGA4の使い方をいち早く解説されていたんです。「なるほど、こうやって使うのか」と基本的な操作を覚えていった感じです。
森野
GA4が出た時にあまりにもわからなくて、もうこの仕事辞めようかなと思ったことがあるんですよ。
屋嘉比
そうですよね(笑)。
私の場合はちょうど切り替えのタイミングはまだ会社にいた頃でした。会社では複数のサイトを運営していたので、「全部GA4に切り替えなきゃいけない」という状況になってやるしかなかったです。
森野
同じくやるしかなかったですよね。まあ、今になると良い練習になっていたってことになるんですが。
屋嘉比
ただ、今振り返ると「けっこう稚拙な設定していたな」と思いますね。
森野
当時はイベントって何?って感じでしたもんね。
屋嘉比
覚えてみれば今の方がむしろシンプルでいいなって思っていますが、そんな余裕もなかったです。
GA4を使いこなすためには設計と実践あるのみ
森野
GA4を使うときは、やはりイベントとかしっかり設計しましょうというところからですか?
屋嘉比
はい、イベントの概念をざっくりでも押さえておくのが大事だと思います。僕も完全に理解しているわけではないんですけど、「ユーザーの行動をひとつひとつ計測するもの」くらいのイメージで十分かなと。
それを見るうえで、ディメンションと指標という考え方があるんだよ、ということも合わせて知っておくといいと思います。
この三つのイベント、ディメンション、指標という概念を理解しておけば、なんとかなる気がしますね。細かい指標の名前なんかは後から覚えればいいと思います。
森野
ディメンションと指標って本当に数が多いです。探索を使い始めると、もう次から次へと出てきて、「こんなの全部覚えられるわけないじゃん」と思いますもんね。
屋嘉比
実際に使うものって本当に限られていて、ディメンションも指標もそれぞれ十個くらいあれば十分だと思います。そのくらいを押さえておけば、まず困ることはないんじゃないかなと思いますね。
森野
やっていくとお客さんから「ログインはできたし言葉もなんとなくわかるけど、どこ見ればいいの?」って聞かれること多いですよね。そういうときは、まずは標準レポートを順番に見ていきましょう、という感じになりますか?
屋嘉比
うーん、そうですね…。標準レポートを見るのも大事なんですけど、その前の段階でつまずいているお客さんが多いんですよね。そもそも「見るべき指標がまだ計測できていない」っていうケースが多くて。「申し込み数を知りたい」と言われても、「じゃあその申し込み、ちゃんと計測していますか?」と聞くと、していないことが多いんです。
そうなると、「まずはイベントを設定するところからですね」という流れになります。最近は、どこを見るかよりも前に、「何を計測すべきか」を一緒に考えることのほうが多いですね。
森野
キーイベントが設定されていなかったり、そもそもGoogle タグマネージャーが導入されていなかったりして、イベントを作るところから始めないといけないというケースが多いですよね。
屋嘉比
イベントを設定するところで「難しいです」となって、そのまま離脱してしまうお客さんもたくさんいますけど(笑)。
森野
あれは、普通の人なら人生で何回やるかって感じですよね~。われわれは何十回もやっているけど、一般の方はそんなに機会ないですもんね。ようやく設定ができて、そこからやっと集客とかいろんな数字を見ていく、っていう流れですか?
屋嘉比
設定をせずに「今あるデータでなんとかしたい」という方も多いんです。そういう場合は、探索でコンバージョンページを指定すれば、ある程度は見られるので、そんなレポートを作成する場合もあります。
森野
Looker Studioのテンプレートを用意もするんですか?
屋嘉比
テンプレートは、基本的に提供していないんです。単に「アクセス数を見たいだけ」という内容なら、テンプレートを配ってもあまり意味がないですしね。本質的な分析をしようと思うと、やっぱり自分の目的に合わせて作る必要があると思っているので、「自分で作ってみてください」とお伝えしています。
森野
そこも、だいぶハードルが高いですよね。
屋嘉比
はい、ちょっと高すぎたと思っているので。最近はそこのお手伝いもしようと思い始めているところです。
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- AIで分析するときはサポート程度で考えておく
- AIには指示よりも背景情報を伝える
- 中小企業はGA4だけあればいい
- 地元の制作会社や代理店をサポートしたい
- 森野ペルソナに釣られていた!
- 終わりに
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